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August 14, 2005

Life belongs to memory

中学生の頃、司馬遼太郎の「燃えよ剣」を読んだ僕は、すっかり新選組に、土方歳三にノボせあがってしまった。「漢(おとこ)」たるもの、「武士(もののふ)」たるもの、かくあるべし、とね。

当時、僕が解らなかったエピソードがある。
薩長との鳥羽伏見の戦いを前にわずかの休息日。鬼の副長として恐れられていた土方が、隊士に向かって言う(台詞は甚だウロ覚えですが・・・)。

「諸君、私に3日、休みをくれ。私には女がいる」

歳三は以前より相思相愛だったお雪と旅をし、3日間の「夫婦ごっこ」を楽しむ。

中坊の僕に、こんな男と女のエピソードなど解る訳もなかったが、後年、これはとても美しい場面だと思うようになった。非常にドラマティックだし、刹那に生きる男の美学としては、こんな恋愛にこそ憧れるもんだ。

が、知人はこういう。「司馬遼太郎的な女性観はどうも、好きじゃない」

続きを想像してみる。
刹那の夫婦ごっこを楽しんだ後、歳三は心おきなく死地へと赴く。転戦を重ね、北の果て函館は五稜郭で命を落とす。
一方、お雪はどうしたのだろう。歳三の訃報を聞く。そもそも、そういう男だと解っていて愛慕した訳だから、そこは諸事覚悟の上だ。しかし、その上で、たった3日間の思い出を胸に死ぬまで生きていける。武士の妻とはそうしたものだ。
・・・とでも司馬先生はお考えなのだろう。

ある意味で、男性側から一方的な理想の女性像を押し付けているのかも知れない。それにそもそも、どんなに美しく描いても、ひどく残酷な事実ではある。現実は、男と女は、こんなもんじゃなかろう。
みじめったらしくて、未練がましくて、せいぜい精一杯格好を付けて、お互いの臓物を曝け出し合って、老いや病や煩悶に向き合い、、、そんなもんじゃないの?

思い出があるから生きていける。

ああ、確かにそうかも知れないね。だけど、逃げ込む先が思い出しか無いのだとしたら、そんなに残酷でつまんない仕打ちはない。目をつむって、また開いて、それで何の景色が変わるんだ?酒呑んで、紛らして、酔いが醒めたら人生は何か変わってるのか?

抜け殻のように思い出にしがみ付くなんて、それがたとい女の人生であっても、男の人生であっても、僕はごめんだ。

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