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July 29, 2005

懐疑は踊る、されど・・・

学校教育を題材にした今期のドラマが面白い。

TBS「ドラゴン桜」と日テレ「女王の教室」である。どちらも、主人公が型破りな教育の方法論を持ち込み、生徒との対立・違和感を超克しながら達成へと向かっていく様を描いている。

重要なのは、2つのドラマに通底するメッセージである。それは大雑把に言えば、「現在の日本はもはや平等とは言えず、そのような幻想は捨てるべし。優位者に搾取・支配される側に成りたくなければ、勉強しろ!」ということである。いやはや、なんとも解りやすいアジテーションでございますこと。だけど、ある種の真理も有る。

誤解を恐れずに言えば、ひと昔前の教育は「優秀なレイバー層」を多く輩出することが求められていた。ここでは、右肩上がりの成長というある種の「大きな物語・ユートピア幻想」が支配的な空気だったわけだし、その物語に則って、誤謬無く処理できる能力こそが重要であった。実はこの構図自体も、被支配層(こういうコトバ遣いは誤解を受けそうだが・・・)から観たメリットそのもので有った。

しかし今や、物語は崩壊してしまった。

代わりに頭をもたげて来たのは、「意識的・自覚的に生きなくてはいけない」焦燥である。同時に、被支配層が代替わりを迎える中で、社会の有力なポストは新たな層の参入を認めない強固なものへと、緩々変わっている。
佐藤俊樹が「不平等社会日本」でしきりに述べているのは、こうした社会が閉塞感を生むことへの危惧だったりする。

今頃になってこういう問題をドラマで取り上げるのも、なんともマスコミの鈍感っぷりが笑える訳だが、しかし、そのメッセージを出すこと自体は重要だと思う。一方で、こういうドラマやったって、世界は変わらないという諦観も僕の中には有る。毎回ドラマの終了後には、クレームが絶えないという。いやあ、眼が開いてても、見えないものってあるんですな。
このドラマがターゲットに据えている、啓蒙(敢えて「啓発」ではなく「ケイモウ」と書きたい)したいと思っている層はまさしく、いちいち電話しちゃうような「踊らされる人々」なのだから。

あ、さて、
職場の同僚曰く、「インターネットにはある種の平等性がある」という。先に挙げた階層化する社会の中で、ある種のリベンジ・逆転をしたいなら、新興の軸・枠組みの中で戦っていくべきだということであろう。非常に明確なソリューションとしてこれを一定度、支援したい(一方でインターネット社会にも、リアルの枠組みが持ち込まれ、そこで従事する人間のプロファイルにはやはり、「selected」な人間が多いわけだが・・・)。

階層化の問題に関しては、僕もそれなりに一家言持っているつもりだし、教育が重要なキーを握るものという考えは揺るがない。だけど、まずは、今期のドラマ(制作者)のお手並みを拝見することにしておきたい。
ちょっと高踏ぶっちゃったかしら?

+++

「パンが無ければ、ケーキを食べればいいじゃないの」
 -Marie Antoinette

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Comments

始めまして。
ちょっと聞きたいんですが、官僚制の逆機能になっている小説など知らないでしょうか・・・?
もしおしえてくれたらうれしいです!!

Posted by: ゆきえ | July 15, 2006 at 11:49 PM

どうも、はじめまして。
小説ではないのですが、「官僚制の逆機能」が結果として随所に表れている映画では、

■踊る大捜査線
などどうでしょう?官僚的な意思決定の流れ(本庁サイドの指揮系統)が、現場所轄の自由な捜査を阻害しているのも好例だと思います。
映画版がとても意味深かったですよ(^^)

■八甲田山
ちょっと古い映画(これは元が新田次郎の小説)ですが、八甲田山走破に関する二つの部隊の行動を通じて、軍隊的組織の問題点(決定事項・計画の硬直性による問題)やリーダーシップ論を見ることができますよ。

思いつく感じではこんなところですが、ご参考になりますでしょうか??
またお気軽にお越しください!

Posted by: かどぅ | July 17, 2006 at 01:04 AM

ありがとうございます!!
学校の課題で、踊る大走査線はだめなんですが、八甲田山は見つけたら見てみたいと思います☆

Posted by: ゆきえ | July 17, 2006 at 05:58 PM

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