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September 18, 2004

素材で勝負するという風潮

「美味しんぼ」という料理漫画がある。
主人公の山岡士郎は、素材へのこだわりぶり並々ならぬものがあるのだが、ときおり彼はアッと驚くことをやってのける。明らかに三流・平凡な(あるいは対戦の食材に関して格の劣る)素材を用いて、一流の味を凌いでしまうという芸当だ。
最高級フグの白子に対してタラ白子を出してみたり、ブランド日本米に対してタイ米を出してみたり。明らかに、料理の技巧だけで白黒はっきりつけてしまうことに、僕ら読者には爽快感が与えられる。

が、現実はなかなか、そうは行かないようで。素材の味ってのは強烈にインパクトがある。というか、一風変わった素材を持ち出した時点で勝負がついちゃうこともある。これ、別に料理のことだけを指しているんじゃないんです。

昨今の文学や映画で評判になる作品は、いずれも題材・設定の段階でほとんどの勝敗が決まっている感じがする。(いやもちろん、文学や映画は勝ち負けではないっすけどね・・)
 ・ドロップアウト女子高生とクールな小学生が風俗チャットで銭儲け
 ・ロリコン男とキャバクラ嬢のすれ違い同棲模様
 ・女子高生がドラッグ・レイプ・援交・ホストそしてエイズに
なんといいますか、いかにセンセーショナルで変わった食材を見つけてくるかが、その面白さの根幹にあるわけで。作品をつむぐ上でのプロセスで発現した、美しい表現や深い洞察・観察なんて、ぜーんぜん期待されてないような感覚もある。

そしてこの風潮は今後ますます広がっていくと思う。
僕自身は別に、こうした設定のトリッキーさ、素材のセンセーションで売りにする風潮自体は否定するわけではない。

けど、ふっと足元を見る。
と、俺はいちサラリーマンで、会社に通い、近所の喫茶店で茶をすすり、洋服買って、ビデオ借りて・・・と、平凡きわまりないセイカツを送ってる。だからといって、別に物珍しい設定やブンガク映画作品に対して、現実と離れた自分を仮借したいなんてこれっぽちも思わない。いや、ま、たまには思うかな。
平凡な登場人物が、静謐で安定した日々の中で、ちょっとだけ触れる違和感、「当たり前だ」と見過ごさない批判精神、人間関係への洞察。僕には、こっちのほうがよほど興味のあるテーマなのだ。魔法も、超人も、ロボットも、宇宙人も、登場はしないけれど。

かどぅちゃんねるでは、少なくとも、こうした平凡を積み重ねて面白さに変えていければ・・・って思う(実力・筆力のことは言いっこ無しで(苦笑))。

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Comments

いやはや。いつもながらかどぅさんのネタ料理の腕前には、
毎度ながらただただ感服するばかりです!
ウマい料理をいつもありがとうございます。

以下雑感ですが。
一般的に「素材のよさ」がふつうに話題となるのは、
食べ物でも、洋服でも、なんといいますかその、、、
比較的「お金を出せば手に入りやすい」もののように思います。
人間そのものの素材(個性?価値?これはアブナイネタだぁ!)
はお金だけではなんともできないし、
人とは違った体験というのもなかなかお金だけでは買えないし、
イマドキ風の激しい設定が好まれるのは、
そのあたりの「お金で買えない」ものだという面もあるかなぁ、
などと考えておりました。
そして「批判精神」も「洞察」もまた、
残念ながら手軽に買えないので、
なんとかやりくりしながら
これからも生きていこうと志を新たにいたしました。。。(笑)
ではまた! (^o^)丿

Posted by: たま | September 18, 2004 at 08:56 PM

>たま様
いつもご覧頂いて、ありがとうございます!
小生には身に余るお褒めの言葉、たいへん嬉しくも恐縮です。
たまさんブログの切り口に味に、頂戴するコメントの数々に、こちらこそ感服しっぱなしでございます。

>一般的に「素材のよさ」がふつうに話題となるのは、
>食べ物でも、洋服でも、なんといいますかその、、、
>比較的「お金を出せば手に入りやすい」もののように思います。
その通りだと思います。そして実際、「お金を出して手に入る」こと自体は否定されることでも無いのでしょうね、ただ、あまりにも素材に焦点が当たることって、ややもすると物事の価値判断を即物的にしちゃわないかな、表層的なところに留めないかな、と余計な気を回したりも致します。
しかし素材に設定の激しさも、才能あればこそ「調達」できるものなのでしょうね。

僕も何処かから、そこかしこから、なんとか掻き集め引っ張り出して、やりくりを続けるしか無いのかなぁ・・・なんて。
これからも、どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m

Posted by: かどぅ | September 19, 2004 at 05:49 AM

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