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August 17, 2004

葦刈

新しいことを貪欲に吸収し洗練されていく女、古い場所に依怙地にしがみつき精細を欠く男。
映画「アニー・ホール」は、NYに住む男女の恋愛模様を、ウディ・アレンがペーソスとコメディたっぷりに語りつくしている。

anniehall.JPG

「僕を会員にするようなテニスクラブには入りたくない」と毒づく、一癖も二癖もある漫談家のアルビーをウディ・アレンが知的に軽快に演じている。一方で、ダイアン・キートン演じるアニー・ホールは田舎出の売れない歌手志望娘。
アニーはアルビーと出逢い、その励ましやアドバイスを受けながら、知性を身につけ徐々に成功へと近づいていく。次々に向こうからやってくる環境変化を積極的に受け入れたいアニーと、変わっていくことに背中を向けるアルビー。
「別れよう」とふたり同時に切り出し、離れ離れになったはずが、次第にアルビーはアニーへの未練をもたげる。別れた彼女の使っていた石鹸を持ち歩くアルビー。不器用で空回りばかりの男のプライドが痛々しくも、そのぎこちなさには、何処かしら共感できるものがある。あ、俺が男だから?

ふと、平安時代は「大和物語」の『葦刈』という話を思い出した。
摂津国に住む夫婦が、貧乏のためにいったん離別し、それぞれに生計を立てることを決める。その後、都に上った女は貴人の後妻になり、男は難波の浦で葦を刈る人足となり乞食さながらの落ちぶれた様を見せる。
「君なくて、あしかりけり(=「葦刈」と「悪しかり」の掛詞)と思えども」と、あなたがいなくなって悪いことをした、別れなきゃ良かったと思う、と男は後悔する。もう過去には戻れない。

時代や場所が変われども、男と女の振る舞いは繰り返す。可笑しいほどに。

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Comments

「葦刈」ですか~。「大和物語」ですか~。
むちゃむちゃ渋いですね~!
時代や状況は違っても、その辺の心情はよく理解出来るように思います。
って、理解出来るのはもちろん、オトコに向かって
「いまさら何言ってんの?あんたいったい誰?」
とでも言いそうな女性の言い分ですけどね~(笑)

Posted by: たま | August 18, 2004 at 01:13 AM

わたしって男っぽいのかなぁ・・・
この映画観て、ウッディ・アレンの方に感情移入してしまいました。
男っぽいっていうか、俗に言う「女々しい」ってやつ?
ホントは女の方が全然さばさばしてるんですけどね。
あ、だから「女々しい」っていうのかな。
日本語って難しい。

Posted by: akari | August 18, 2004 at 10:38 AM

>たま様
>「いまさら何言ってんの?あんたいったい誰?」
>とでも言いそうな女性の言い分ですけどね~(笑)

オトコを代表して、「あ痛たた、、」という感じです(爆)
普遍的にいつの時代もオトコはこうだったのでしょうかね(涙)

*****

>akari様
実際には男女を問わず、世間一般的に「男性的とされる要素が多い」か「女性的とされる要素が多い」か、ということなんでしょうかね。
まあ、アルビーが最後に、彼女との話の顛末を劇にしている様は、少し、救いがあるところと見ることができるかも。。

Posted by: かどぅ | August 18, 2004 at 01:44 PM

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