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July 04, 2004

「下妻物語」

ついに出遭ってしまった。

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10代前半の僕に大きな影響を与えた漫画は、恥ずかしながらも「ハイスクール奇面組」だった。主人公たち奇面組の、何者にも阿らず遠慮せず、周囲に特異性を認めさせ、巻き込んでいくパワーにえらく勇気づけられた。

「他人と違っている自分、何処が悪いの?」

こうして小学校の後半以降の数年、僕は「変わり者である」というレッテルを望んで貼られるようになった。

・・・それにしても、「下妻物語」。
「あたしはおフランスのロココ時代に生まれる筈だったの」とのたまう主人公のモモコ。ディテールまでも小ネタ満載な作り込みっぷりは流石、中島監督のCM屋としての職人気質を強く反映している。友達が居なくても、家庭が恵まれて無くても、アタシはアタシ。好きな服を着て、好きなことだけを考えて、何が悪いわけ?
その、ある種無機質にも見えかねない主人公の乾いた心性は、ヤンキーの友達・イチゴの登場になって、揺さぶりがかけられる。

友情を通じたビルディングス・ロマン(成長物語)のひとつとしてカテゴライズすれば、スタンド・バイ・ミーのオタク女子版とでも言えなくない。が、そんなカテゴライズは正直どうだっていい。
自己が自己を獲得するたたかいは、いつの時代の、何処の場面でも起こりうるものだから。その意味では極めて普遍的な心情を描写した映画だと思う。

なぜこの時代に、この場所に、自分は居るのか?
モモコは若干居心地悪げだが、ロココ時代のフランスではなく21世紀の下妻だからこそ、この作品には味がある。スタンド・バイ・ミーでも、マイライフ・アズ・ア・ドッグでも、走れメロスでもなく、間の抜けた下妻の日常が終始、友情や差異を生真面目に語ることを避け、しかし、物語としては隙なく完成されている。

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