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May 10, 2004

「青春の殺人者」

向かう青春があれば、去る青春もある。

昨日米国の出張から戻ってきたが、成田空港からバスで帰る途中、頭の中のラジオは、ゴダイゴの"If you are passing by that way"をエンドレスで流していた。あれほど、克明に映像と音楽がマッチする映画シーンも珍しい。

seishun.JPG

向かう青春を描いた映画は多い。たとえば、米国出張で成田空港に向かうときの自分の気分は、「真夜中のカーボーイ」の冒頭、ジョン・ボイトがNY行きのバスに乗っているような感じ。何かを獲得するためにエネルギーを使うのは、青春の常套手段だろう。映像的な明るさこそ違えど、大林監督の「青春デンデケデケデケ」なんて、向かう青春そのものだ。

何かを失い、去ることで青春を表現するならば、この映画の最後のシーンがまさにそうだろう。ふた親を殺し、遺棄し、恋人を捨て、家を焼き尽くし、そして何処にか行き方も知れぬトラックの荷台に身を任せる。あの、主人公・順(水谷豊)の不安げな表情。もう、これだけでいい。

この時代は折しも、戦後すぐの親世代が集団就職などで大都市に出て、がむしゃらに働いた末に中産階層を為しており、子の世代はその労苦の上に青春を謳歌するという絵図が有った。その青春の謳歌の仕方は様々だが、ときに学園闘争や学生運動であったり、この映画でも出てくる三里塚闘争だったりするわけだが、いずれにしても、この時代特有の匂いは、叩き上げた父権の自信と、それに対抗する子世代という構図から起因していたのだと思う。

そして70年代の中盤以降に産声を上げた僕らの時代には、この匂いすら嗅ぎ取ることが叶わなくなった。それは、80年代以降世代の持つ、社会に対するアパシー(apathy:無気力・無関心)がそうさせたのかも知れないが、ともあれ、僕らには、積極的に殺すべき青春すら残っていないようである。

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Comments

どうも。
はじめまして。
TBさせていただきました。

たらたらと書き散らしているBlogですが、
お暇な際にはお越しくださいませ!

Posted by: kaji | April 17, 2005 at 01:58 PM

kaji様

はじめまして、コメント&TBありがとうございます!!(kaji様のサイトにもお伺いさせて頂きました!)

長谷川監督といえば、「太陽を盗んだ男」も名作ですよね。こちらも、いずれレビューを書きたいところです。。

またお越し頂けるとうれしいです!
今後ともよろしくお願いしますm()m

Posted by: かどぅ | April 18, 2005 at 01:06 AM

サイトへのご来場ありがとうございます。
「太陽を盗んだ男」のレビューも楽しみにしております。

また、伺いますので、よろしくお願いいたします!

Posted by: kaji | April 19, 2005 at 06:09 AM

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