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April 22, 2004

ルサンチマンはカネになる、の巻

ルサンチマン(ressentiment)-「恨み」と訳されるニーチェの造語である。
ちょっと前までは哲学や思想をかじった人間が多用した言葉の代表格であったと、僕個人は思っている。
(関係ないが、哲学・思想かじりの人間がよく使う言葉には他に、「ポストモダン」「脱構築」「エピステーメー」「レゾン・デートル」「ディスクール」なんてのがある。こういう言葉がもっと闊歩したら、世の中はもっと面白くなると思うのだが・・・)

話を本題に戻すが、ルサンチマンはカネになると思う。ここでは、ルサンチマンの正確な定義は別に譲る(これ自体は面白いテーマなので、いずれニーチェに関して本ブログで書いていきたいが)として、ルサンチマンを取り巻く商売は
とにかく儲かる。敢えていくつかに分類してみると、、

①ルサンチマンを抱える人に対して、そのルサンチマンを解消する方法を提供すること
②ルサンチマンを抱えた個人どうしが連帯してある磁場を作り、そこでモノを流通させること
③ルサンチマンを抱えた個人がなにがしかを表現することで、興味を持つ人々の賛同を得ること

①は、「××解消産業」とでも言おうか。実社会でまったく異性にもてないオヤジやオバチャンが若い異性に優しくもてなしてもらえる場所に出向いてみたり、不安を抱えたひとに「あなたの未来はこうです」なんて占いをやってみたり。まあ、ひとの不安や恨みの気持ちの弱さにつけ込むのは、商売の基本なのかも知れない。そういえば、鶴見済の「完全自殺マニュアル」は、ソリューションを提供するノウハウ本としてきわめて面白い。

②は、お金にはさほど反映されないケースも多いが、「××運動」のようなものに形を変えて発現することがよくある。このアパシー(無関心主義・政治的無関心)のご時世に、運動をやろうという殊勝な人間もまあ少ないが、かつての労働組合や学生運動みたいなものが華やかなりし頃は、けっこうな集金能力を持っていた。

③は、面白い。尾崎豊だったり、筋肉少女帯(大槻ケンヂ)だったり、アーティストにはこの手が多い。
ほかに例をあげれば、少し前に「ひきこもり」が社会現象になったとき、その代表格として勝山実さん(「ひきこもりカレンダー」著者)が登場したが、彼はまさに、ルサンチマンを上手に売りものにまで昇華させたという意味で才能がある(僕は彼が登場するイベントにも行ったことがあるが、ひきこもりになってしまった自分という存在を、実に興味深く聞かせる才能があり、凄い人物だと思う)。

儲かるルサンチマンと、儲からないルサンチマンがある。

そのメカニズムは実にシンプルで、己の抱えるルサンチマンを外に出せるか、出せないかの違いだと思う。儲かるルサンチマンは、巧みに自分のルサンチマンを表出し、他者の関心を得、ときに賞賛や新たなネットワークづくりに向かわせることが可能である。
前述の勝山氏は、ひきこもり「ブーム」でワイドショーに出演した際に、堅物コメンテーターや自称・ひきこもりカウンセラーのおせっかいオバサンなんかに、「ひきこもりはそんなに単純なことじゃないんですよ。じゃあ、僕がこれから楽屋に引きこもりますから、僕を楽屋から外に出してみてください」と答えたが、あれには快哉を送りたい気分になった。そして彼自身は、「ひきこもり」を売りにすることで「ヒキコモリ」を卒業した。
大槻ケンヂは、自身特にモテるわけでも、成績が優秀なわけでも、スポーツが万能なわけでもなかった。その劣等感を口にし、奇声をあげ、特異な格好をしてステージに立ち、若者のカリスマになった。そしていまや、美女とフライデーされるモテっぷりである。

かくいうわたくしも、劣等感・弱さ・恨み・ルサンチマンが服を着て歩いているような人間である。
でも、だからこそ、自分のどのルサンチマンが売り物になるかと思うと、逆にウキウキする気持ちになり、たまらなく幸福な想像(妄想?)に突入してしまう。

・・・ありがとう、ルサンチマン。

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Comments

なんかいいですね、「ルサンチマン」
ネガティブなものでも、ポジティブにとらえれば、
いいものになるんだなぁ。
ちなみにわたくしはルサンチマンはそれほどないん
ですが、ネガティブ要素はいろいろあります。
いつかそれがお金になる日が来るといいですねぇ。
いろいろ考えなきゃ・・・

Posted by: akari | April 22, 2004 at 10:12 AM

でもカドゥさんのルサンチマンが、仕事の原動力になってるんじゃないですか?そういう意味ではお金になってるかもよ!

Posted by: ラスベガスをやっつけろ | April 24, 2004 at 02:10 PM

akariさん、ラスベガスさん、レスありがとうございます!

直接的におカネにならなくても、ルサンチマンをモチベーションに変えて楽しく生きることもできる思います。
ルサンチマンは基本的に、欠落した何かを精神的に埋め合わせようという行為のことだと思うのですが、それを織り込んだ上で、埋めることよりも放置して金を稼ぐほうが、よほど面白い生き方ではないかと思います。

僕のルサンチマンも、おカネになっているのかな。もっと、稼がねば(笑)

Posted by: かどぅ | April 25, 2004 at 01:41 AM

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